ヒトメタニューモウイルス
ヒトメタニューモウィルスとは
ヒトメタニューモウィルスとは、いわゆる「風邪」の原因となるウィルスです。以前から存在していたウィルスですが、技術が進歩したことで、2001年に発見され、検査で検出できるようになりました。
感染が増えるのは生後6か月頃からで、感染は何度でも繰り返し起こります。多くの子どもが5歳頃までに感染するといわれており、3月~6月に流行します。
ヒトメタニューモウィルスの感染経路と原因
ヒトメタニューモウィルスの感染経路は、飛沫感染と接触感染です。
特に保育園や幼稚園などの集団生活で流行しやすく、咳やくしゃみ・会話の際に飛んだ飛沫の吸入・ウィルスが付着した手や物に触れることで感染します。
ヒトメタニューモウィルスの潜伏期間
ヒトメタニューモウィルスは3日~6日程度潜伏します。
ウィルスは感染後2週間程度気道から排出され続けるため、注意が必要です。
ヒトメタニューモウィルスの症状(初期症状)、経過中の注意点
ヒトメタニューモウィルスの主な症状は咳や鼻水、発熱といった一般的な風邪と同様のものですが、比較的高熱が 4~5日間、咳も1―2週間ほど持続しますことがあります。
年長児や成人の場合、多くは風邪として1週間程度で軽快しますが、特にヒトメタニューモウィルスへの感染が初めての乳幼児や高齢者の場合は細気管支炎や重い肺炎を引き起こすことがあり、その際には経過中にゼーゼー、ヒューヒューというような呼吸音が聞こえますので注意が必要です。この点は後ほど記載します RS ウイルス感染症に似ています。
診断方法
ヒトメタニューモウィルスでは、鼻から綿棒を入れて行う迅速検査キットがあり、結果は10分程度で判明します。
当院では、検査に「BioFire SpotFire R パネル(多項目PCR検査)」を使用しておりますので、原因ウイルス・細菌がすぐにわかります。
検査は 6 歳未満であれば保険適用の範囲内ですが、特効薬が存在しない点から、主には、症状が長引いたり、ゼーゼーがひどい場合、また診察上肺炎が疑われるケース等に限定して検査を行っております。
ヒトメタニューモウィルスの治療方法
ヒトメタニューモウィルスには、有効な薬がないため、対症療法として咳や鼻水を緩和する薬や解熱鎮痛薬の使用、鼻水の吸引などを行います。
ただゼーゼーが目立つ場合は気管支拡張剤の吸入や内服、またもともと喘息の既往がある方で、この感染をきっかけにゼーゼーがひどくなった場合にはステロイド吸入や内服を併用することもあります。
多くは対症療法で改善していきますが、中にはゼーゼーが悪化して酸素の取り込みが悪くなり、入院治療が必要になることもあります。
ヒトメタニューモウイルスと診断された場合は、全身状態、呼吸状態に注意し、心配なご様子であれば早期の再診察をお願いします。
ヒトメタニューモウィルスに関して
よくある質問
大人にも感染しますか?
大人の方でも感染します。お子さんからの家庭内感染が多く、ほとんどの場合幼少期から繰り返し感染しているウィルスであるため、大人の方では症状は軽い風邪程度で、重症化することはまれです。
ただし、高齢者や免疫力の低下している方では、肺炎などの重い症状を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
いつから登園・登校できますか?
ヒトメタニューモウィルスは、インフルエンザやコロナウィルスとは違って明確な出席停止期間の決まりはありません。
登園や登校は、解熱して、咳や鼻水などの症状がある程度軽快すればできるようになります。判断に悩むときは当院までご相談ください。
ヒトメタニューモウィルスは感染しやすいですか?
ヒトメタニューモウィルスは感染力が強く、特に発症してから1日~4日程度は感染のリスクが高いとされています。
感染は、咳やくしゃみなどの飛沫や、ウィルスが付着したおもちゃやタオル、手指などから拡大します。
ヒトメタニューモウイルスの症状のピークはいつ頃でしょうか?
ヒトメタニューモウイルスに感染すると、ウイルスは感染者の喀痰中に1〜2週間排泄されます。
特に、発熱から5日間は排泄量が最も多くなります。
ウイルスの排出ピークの1〜2日後に、症状のピークが現れることが知られています。
大人の咳が止まらない原因はヒトメタニューモウイルスでしょうか?
1~2週間ほど続く咳があり、比較的高熱が 4~5日間持続する、鼻水がある場合はヒトメタニューモウイルスの可能性があります。
また、呼吸器感染症の中で、ヒトメタニューモウイルスンの割合は子ども:5~10%、大人:2~4%と考えられています。
ヒトメタニューモウイルスの症状で入院の目安はありますか?
基本的な症状は、咳や鼻水、発熱といった風邪と同様のものがあります。
しかし、呼吸器の症状として喘鳴(息を吐く際にヒューヒューと音がする状態)が頻繁に起こる場合、重症化のリスクが高まります。
そのため、最悪の場合は呼吸困難に陥り、入院が必要となる可能性があります。