発達サポートとは
発達のマイルストーン
すべての子どもたちは日々成長しています。
子どもたちは、階段を上るように、決して階段を飛び越えることなく、ひとつひとつ色々な能力を獲得しながら、できることを増やして、発達していきます。
首が座っていない赤ちゃんは一人で座れませんし、ハイハイしていない赤ちゃんはまだ立つことができません。単語を理解していなければ文章を話すことはできません。当たり前のことのようですが、とても大切なことです。
子どもたちには、それぞれの時期で、それぞれの能力でできることがあり、それを発達学ではマイルストーン(milestone)といいます。子どもたちの発達がどこまで進んでいるかの「道標」という意味です。小児科医はこの発達のマイルストーンを踏まえながら乳幼児健診をしてお子さんの発達を確認していきます。
ここで大切なことは、この時期には「これができていなければいけない」ということではありません。マイルストーンはあくまでも指標です。成長発達のスピードは一人一人ちがうものですから、発達の早い子もゆっくりな子もいます。周りの子と比べたり、育児書やネット情報だけで心配になることはありません。
発達の質と量
そして、もっと大切なことは、発達段階の指標であるマイルストーンだけで発達を評価することはできないということです。マイルストーンは「発達の量」をみています。私たちあのねコドモくりにっくは「なにができるか」ではなく「どのようにできるか」という「発達の質」を一番大切にしています。
多くの乳幼児健診では残念ながら「発達の量」で正常か異常かを判断しています。
たとえば、運動発達マイルストーンでは「寝返り」は生後5-6か月で獲得します。では、生後3か月の赤ちゃんが寝返りをしたらどうでしょう。普通より早い時期に運動ができているのだから問題ないと思われるかもしれません。もしかしたら乳児健診で医師から「早くていいね」なんて言われてしまっているかもしれません。
でも運動発達学的にはそうではないのです。
人間には誰もが生まれつき脳の中にもっている運動パターンがあります。教えられているわけでもなく、どの乳児も同じ時期に同じようなパターンの運動をおこないます。これは運動に必要な関節の角度やどの筋肉を使うのかが生まれつき定まっているからです。当たり前のことですが「運動は姿勢の連続」です。
寝返りができるためには、多くの姿勢のプロセス(重心の移動や、体重を支持する力、背骨を回す動きなど)がきちんとしたタイミングで起こる必要があります。そのために生まれてから5-6か月間はその準備期間なので、寝返りはできないのです。
ハイハイをせずにつかまり立ちをしてしまうと、両手と両膝の4点でしっかり体重を支える経験が少なくなり、歩き始めてからの運動にも影響が出ることがあります。
赤ちゃんの運動は効率が良く、無理と無駄がない調和のとれた状態が「理想的な運動発達」とよび、これこそが「発達の質」をみる大切なポイントです。
発達は順番を飛び越えず、適切な時期に効率よく獲得をしていくことが大切です。
発達と育児グッズ
バギー、抱っこヒモ、椅子、サークルなど最近はスタイリッシュで便利な子育てグッズがたくさんあります。みなさんは発達月齢や発達段階にあったものを選ぶでしょう。たとえば最近は生後すぐから縦抱きができる抱っこヒモを使われている方をよく見かけます。抱っこをする人は両手も使えますし、腰の負担も少ないようです。ただ首が坐る前の赤ちゃんにとって長時間の縦抱きはヘッドサポーターがついていても負担になります。
まだお座りができない赤ちゃんを座らせることができる椅子もあります。離乳食をあげるのに便利で使われている方もいらっしゃるかもしれません。赤ちゃんが食事をする姿勢には、首が反り返らないように顎を引くことなど大切なポイントがいくつかあります。抱っこをしながら離乳食をしたほうが食べやすい場合もあります。
縦抱きヒモや椅子が悪いということではなく、育児グッズを使う場合には目的と場面をしっかりと理解して使うことが赤ちゃんの発達には大切なことです。
赤ちゃんの抱っこ
あかちゃんの抱っこの仕方は大まかに分けると縦抱きと横抱きの2種類があります
まだ小さな赤ちゃんを抱っこするときに気をつけなくてはいけないのが股関節脱臼です。
股関節脱臼は、大腿骨の骨頭が股関節の臼蓋(骨頭を覆っている屋根のような骨盤の骨)から外れていたり外れそうになっている状態をいいます。骨盤の形から女の子に多く、逆子に多い傾向があります。骨の成長が不十分であったり関節の柔らかさからくるものが多いですが、脱臼は内股になり、ねじれる姿勢や無理に足を延ばした姿勢でおこりやすくなります。
M字縦抱き
縦抱きの場合はカエルのように足がM字になっている、股関節が外に開いた状態のM字縦抱きがおススメです。
ただし、首がまだすわっていない時期の縦抱きのM字の姿勢は、少し怖いと思います。
おとながソファでくつろいでいるときに、おとなに寄りかかるように抱っこしてあげると縦抱きのような姿勢になります。
この姿勢は股関節も外に開いており、脱臼のリスクも少なく、おとなにもたれかかれるので赤ちゃんにとってもよい姿勢の抱っこになります。おとなとぴったりくっついた抱っこは赤ちゃんも安心します。
Cカーブ抱っこ
横抱きのCカーブ抱っこは腕全体で輪を作り、包み込むように抱くことで、おとなにとっても疲れにくい姿勢を保てます。
赤ちゃんの左右の両手が胸の前に合わさるように、赤ちゃんの背骨がねじれずに左右対称で、すこしまるまった姿勢になるとよいでしょう。赤ちゃんの股の間から大人の腕をいれて、背骨に沿わせて深く抱いてあげると赤ちゃんも大人も安定します
腰が痛くならない抱っこの仕方
立ったまま、背中や膝を伸ばした状態で腰を曲げて抱き上げると、背中や腰を痛めやすくなります。
また、正座や両膝をついたままの姿勢で、抱き上げてから立ち上がる動作も背中や腰への負担が大きいため、赤ちゃんを低い位置から抱き上げるときは、片膝をつき、できるだけ赤ちゃん側におとなの身体を近づけ、密着してから立ち上がりましょう。
こんな抱き方は気を付けて!
首がすわっていない赤ちゃんを抱っこするときは、頭と首をしっかり支えることが特に大切。赤ちゃんは頭が重く、首の筋肉が弱いため、揺さぶられたときに自分の力で頭を支えられません。
強く速く揺さぶられ、頭がい骨の内側に何度も脳が打ち付けられると、脳が損傷を受けることも。
首がすわるまでは、丁寧に首を支えましょう。
NGな抱き方例
- 赤ちゃんの首がしっかり支えられていない
- お互いに密着していない
- 赤ちゃんの姿勢が左右非対称でねじれている
- 首が背中側へ反っている
- 抱っこする人の肘が体から離れ、手や手首だけで支えている
赤ちゃんが泣くということ
赤ちゃんの仕事は眠ること、泣くこと、動くこと、遊ぶことです。
外来をしていると赤ちゃんをなるべく泣かせないように育てていらっしゃる方が多いように感じます。
赤ちゃんが不安な時におとなに抱きしめてもらって安心することをアタッチメント(愛着)といいます。赤ちゃんが不安を感じた時にその思いを受け止めて抱っこをしてあげるのはとても大切なことです。でも、赤ちゃんがおとなにくっついて安心し、落ち着いたら、今度は離れてあげることも大切です。ずっと抱っこをされていたら赤ちゃんは自分で挑戦をすることができません。赤ちゃんの毎日は新しいことへのチャレンジの連続です。欲しいものに手を伸ばしたり、寝返りやズリバイ、ハイハイ、伝い歩きなど自分ができる精一杯の移動手段で自分の世界を広げていきます。
泣くことは赤ちゃんにとって大切なコミュニケーションです。泣いたらおとなが来てくれる。赤ちゃんが自分から発信する力を大切にしてあげることで、赤ちゃんは自分が世界を変えられる!という自己肯定感へつながるのです。
大きな声で泣くことは胸が大きく広がり呼吸する力を養います。そうするとたとえ風邪をひいても咳が長引いたり、ゼイゼイを繰り返すことも減っていきます。もっと言えば風邪にかかりにくくもなります。また泣くことで腹筋も鍛えられますから便秘も改善します。
赤ちゃんは大きな声で泣くことがお仕事です。
子どもたちは、それぞれのペースで階段をのぼるように発達していきます。
もし、発達のなにか・どこかにつまづいたら・・・・今、何がどこまでできているのか、できないのはどうしてか、どうやって手助けをすればできるようになるのか・・
発達の専門家がつまづいている原因をひとつひとつ探りながら、お子さんやご家族さまに寄り添って、発達をサポートします。
赤ちゃんの感覚
感覚には【5感】と呼ばれている「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」のほかに、重力を含めた加速度を感じたり、身体の傾きや動きを感じる「前庭感覚」、筋肉や関節の状態から力加減などを感じる「固有受容感覚」、おなかがすいた、トイレに行きたいと感じる「内臓感覚」があります。
感覚はすべての発達の原点でもあり、土台になります。赤ちゃんはおなかの中にいるときからさまざまな感覚を感じています。生まれたあとも感覚はいろいろな「経験」~見たり・聞いたり・味わったり・嗅いだり・触ったり・・体を動かしたり~をすることで鍛えられていきます。
体の傾きを感じる前庭覚と自分の体の位置や動きを感じる固有受容感覚により、重力にこうする姿勢やバランスが発達します。
姿勢が安定してくることで、目でしっかり「見る」ことが上手になってきます。
9、10ヶ月頃になるとうつ伏せで遊んだり、仰向けで遊んだり、ずり這いやハイハイで移動したり、座って遊ぶなど運動のバリエーションが増えてきます。
おもちゃを触ったり、トンネルをくぐるなど、触覚と自分の体の位置や動きを感じる固有受容感覚を通して、「自分の体の輪郭」「頭や手足など身体の位置関係」「手足の長さ」「身体の幅、大きさ」を学んでいきます。
また、移動したり、寝転がったり、布団をよじ登ったり、お母さんの足にしがみついたりすることで、どのように自分の体を動かせばできるか、自分にはどの程度運動能力があるのか確認しながら学んでいます。
身体のどこに手足があるかなど身体の地図ができ、自分はどの程度の力があるか分かってくると、空間の中でどのようにすればバランスを崩さないで遊べるのか、おもちゃで遊ぶにはどのように手を動かしたらいいかなど運動の組み立ても上手になってきます。はじめはぎこちなくても、繰り返し行うことで、徐々に意識しないで上手に手足を動かして遊べるようになってきます。
感覚の感じ方でお子さんのタイプも変わってきます。
- ばんばんタイプ
感覚刺激が感じにくいので足りない刺激を補おうと、どんどん自分から感覚刺激を求めて動くの大好き!自分からどんどん動くので目が離せないかもしれません。このタイプは運動発達も比較的早いかもしれません。
- マイペースタイプ
ばんばんタイプと同じで感覚刺激が感じにくくのですが受け身的で、まってしてしまうおっとりタイプあまり自分から動こうとせずに受け身的なので、やってみて学ぶ機会が少なく、運動発達もマイペースです。 - キョロキョロタイプ
ばんばんタイプに少し似ていますが、感覚刺激に対して反応しやすいため、気になるものはキョロキョロみたり、行動してしまうきょろきょろタイプ。一つの遊びに集中するよりは、気になったものに次々いくタイプです。 - ビクビクタイプ
感覚刺激に対して反応しやすいためキョロキョロタイプと違って、怖がったり、用心深く、」とっても慎重派なので、安全で安心できないと自分からやろうとしないかもしれません。
このように感覚刺激の受取方が違うだけでお子さんのタイプも違ってくるので、運動発達の個人差もでやすいのは仕方ないのです。
もちろん、感覚以外にもたくさん影響する要因はあると思いま、すが、お子さんを特性を理解する一つとして知っておくとよいかもしれません。
触って知る、なめて学ぶ
触覚は、五感の中で最も発達が早く、妊娠10週頃から自分の体や子宮壁にふれるという行動がみられ、学習が始まっていると言われています。
赤ちゃんは何でも触りたがります。口の中に物を入れるのも、味を確かめているわけではなく、唇や舌が鋭敏な触覚器官だからです。赤ちゃんにとって触れることやなめることは、見たり聞いたりするよりもより確かな情報を得られる手段なのです。
触覚の役割 その一つが、防衛本能としての危険の察知です。人は物に触れると皮膚が熱さ、冷たさ、圧力、痛みを感じます。こうした感覚は身体の表面で感じる皮膚感覚によって得られるので、命の危険にさらされたときに逃避するか否かの判断をしています。
2つ目の役割は、視覚だけでなく、あらゆる皮膚感覚を使って物の情報を得ています。5ヶ月頃までは立体的に見えていないため、目ではなく、口で物を感じます。例えば、口に積み木を入れて「厚みがあるな」「角ばっているな」など大きさや形を感じているのです。自分から触ったり、なめたりすることで、物の大きさ、重さ、手触り、形状など、たくさんの情報を脳に集めることができるのです。
この時期はたくさんの物に触れて、口に入れてみる必要があります。衛生面ばかり気にして何も口に入れさせないでいると、せっかくの学習のチャンスを失うことになります。衛生面に気をつけながら、子どもの手に触れさせるだけでなく、口のなかで十分に物を認識できるような適切な環境を作っていきましょう。
子どもの運動に伴う触覚機能の発達においてもっとも重要視されるのは「自分と他者の区別」です。触覚を使った探索行動をすることで、子どもは「これは自分の手だ、足だ」ということを発見し、その経験を積み重ねることで、自分が自分であることの認識がつちかわれていくことができます。
学ぶためには誰かから「触られる」ことではなく、自分から「触る」ことが大切です。自分で自分の身体を触らないと自分の身体は不明確なままです。だから「自分で自分を触る」ことが重要なのです。
自分で自分を触る代表的なしぐさが「指しゃぶり」です。指しゃぶりでは、触る側と触られる側の両方の感覚を同時に得ることができます。
指をなめたり、玩具を口にもっていく。自分の顔を触ったりもします。 この時期はミトンはせずに自分を知る機会を大切にしましょう。
胸の前で手と手を合わせる。体のはじにあった手が身体のまん中で左右が出会います。手と手と合わせてじっとながめるようにもなっていきます。
足の裏どうしをあわせるような動きをしたり、足を手で持ったり、足を口にもっていく動きも発達に応じて変化していきます。
これは本能的な学習で、むやみに制止したりせずに、好奇心が向かうままに、十分に触る経験をさせ、自分を知る機会を大切にしましょう。
赤ちゃんの視覚の発達
視覚の発達について
- 0~1ヶ月
約20cmあたりがぼんやり見え、ゆっくりとした動きなら追視できます。
ご機嫌がよくタイミングが合えば目の前にいる人の表情をまねることがあります。
舌を出したり、大きく口をあけるなどしてコミュニケーションを楽しんでみましょう。 - 2ヶ月頃
人や手の動きを目で追うようになります。この時期目の前にものがあるとじっと見つめる反応があります。
鮮やかな映像がめまぐるしく映し出されるテレビは、好き嫌いにかかわらず見続けてしまうので、環境を整えることも大切です。 - 3~4ヶ月
小さなものも目で追い、同時に頭も動かします。
自分の手を見つめたり、物に手を伸ばすこともできるようになります。
この時期、視覚だけでなく聴覚の発達もすすみ、声や音にもよく反応し音のする方に頭を動かす様子もみられます。
寝返りやお座り、はいはいができはじめると、外界が立体的に見えたり、遠近感がより理解できるようになってきます。おもちゃで遊びながら目と手の協調性も少しずつみられてきます。
見て、モノをとらえることが上手になることで6ヶ月頃から少しずつ、「記憶」する能力が機能しはじめます。
それ以前のお子さんは目の前にあるものは「ある」、目の前にないものは「ない」と認識します。それが9ヶ月頃になると、今はみえていないが、さっきまであった物を「あった」と記憶できる「ワーキングメモリー」が少しずつ育ってきます。
また、9ヶ月頃のお子さんは、おもちゃを隠す遊びを繰り返すと、物ではなく相手をみたりします。これは、「自分とおもちゃ」「自分とパパやママ」という2項関係から、「自分とおもちゃと第三者」の3項関係が芽生えてきたということです。3項関係が成立しはじめると、指さしや視線を使って物をつかってパパやママと共有できるようになってきます。
見ることは、物を見てとらえるだけでなく、記憶すること、視線でのコミュニケーションにも役立っています。
赤ちゃんの遊び
生まれて3-4か月になると首がすわってきて、視力もはっきりしてきます。目で動く物を追う「追視」や音や声にもとてもよく反応するようになります。
受け身でされるがままだった赤ちゃんが、周りへ興味を示すようになります。能動的な行動を促すには、たくさん話しかけ、触れてコミュニケーションをとってあげることが一番大切です。
◇音の出るもの
この時期、音のする方に顔を向けて反応します。パパママのやさしくあやす声、新聞やビニールのカシャカシャした音。オルゴールなどゆったり柔らかいメロディーが大好きです。「みる・触る・聞こえる」がそろったおもちゃは、こどもの興味をうまく引き出すことができます
◇感触が楽しめるもの
物を握る力もぐーんと発達します。がらがらなど手で持つ系のおもちゃは上手につかめるようになってきます。
手で触った感触も、こどもにとってはお楽しみの一つ。ふわふわしていたり、つるつる、布、や木やプラスチック・・色々な素材に触れさせて、触り心地を楽しんでもいいですね。
◇なめてもいいもの
赤ちゃんは生後2か月くらいから自分の手や手に触れたものは決まって口に持っていき、なめます。赤ちゃんにとってお口が感覚器官。赤ちゃん用の市販のおもちゃはなめても大丈夫な素材や形状でできているものがほとんどです。衛生面に気をつけながら、口のなかで十分に物を認識できるように適切な環境をつくっていきましょう。
◇動きのあるもの
視力が発達してきて動く物に興味津々。じっと目で追います。寝たまま遊べるメリーのおもちゃは自分で動かして遊び、夢中になって遊ぶ場面も出てきます。おきあがりこぼしなど、シンプルでゆったりとした動きのおもちゃの方が赤ちゃんとのテンポも合いやすいです。
お子さんと遊んでいると、私たちおとなの想像以上にこどもが相手の行動や気持ちに興味を持ち、心を通わせようとしていることに気づかされます。運動や言葉など知能の発達だけに目を向けるのではなく、お子さんの働きかけを温かく見守りながら、「たのしい!」「やりたい!」とたくさん感じて自分から新しい遊びへチャレンジできる環境を作って行きましょう。
やりたいことは、子どもが遊びに必要な動作を行うことだけではありません。
お子さんの「やりたい」を叶えるためには、その子の運動や能力だけをとらえるのではなく、その子のやりたい遊びや手段、誰とどのような場で行うのか、環境もきちんと把握して、変化させていくことも大切です。
その環境には、おとなも含まれています。
お子さんの自発的な行動は温かく見守りつつ、やりとり遊びではお子さんのの動作や気持ちを言葉にしてあげながら、遊びが深まる支援をしてあげることも大切です。
特定の感触を嫌がる、視線が合わない気がする、手を握り込んでいて物を握ろうとしないなど、どんな小さなことでもご心配なことがあればご相談ください。
月齢ごとにあったおもちゃを用意するだけでなく、月齢に応じて遊び方のバリエーションを増やしていくこともできます。
例えば、積み木ではこれまで一つのパーツを持ったり、投げたりする遊びから、2つ以上のパーツを打ち付け、音や感触を楽しむこともできるようになります。
積み上げることで目と手の協調性や力加減を学びます。積み木をわざと落としたり拾ったりを繰り返す、立ちしゃがみをすることで歩くことに必要な筋肉が鍛えられます
「ちょうだい」の声掛けで渡すことで、相手を意識しやりとりが広がるなど遊び方が広がってきます。
積み木は色々な形や色があり、触ったり、色を感じるだけでも楽しいと思います。
10か月頃になると簡単な真似ができるようになってきます。例えば、拍手やばいばいなどの簡単な動作です。絵本を使って色々な動作を子どもに見せてあげるのも楽しいと思います。また、記憶力も養われてくる時期なので同じ言葉が出てくる絵本を意識的に使って、言葉の繰り返しを聞かせてあげることも言葉の発達に役立ちます。
音の出る絵本も、はじめはバンバンとただ絵本を叩いて遊ぶ、1歳~ボタンを押すと音が出ることを理解する、2歳~音に合わせてリズムをとれるようになるなど成長に合わせて遊び方も変わってきます。
ボールはもっと小さい頃から持っているかもしれません。つかむ、投げる、転がす、両手で持って運ぶ、つまんで動かす、穴にボールを入れる色々な遊び方ができるようになってきます。
遊んでいるときに、「それー」「ころころ」「ぽーん」「ぽん」「くるくる」など動作を言葉にしたり、「あー」「あった」「どーぞ」など気持ちを言葉にして遊んでみましょう。
体を動かす遊びも、体作りに大切です。トンネルや布団の上をずり這い・はいはいしたり、よじ登ったり・・・
高い高いで上下の揺れや左右の揺れなど感覚を刺激する遊びもやりとりしながらやってみるのもよいと思います。お子さんが嫌がるようなら無理におこなうのはやめておいた方がいいですが、ゆっくりな揺れなら楽しめるのか?上下の揺れは嫌がるけれど、抱っこしながら左右に揺らすのは落ち着いているなど、バリエーションをみて好きな遊びを見つけてみるのもよいと思います。
遊びが上手になることで、自分の手だけでなく、道具への関心が高まります。自分の生活をより豊かなものにするために、遊びを通して手の操作を磨いています。
おえかきも、道具をもって、うごかし、書く中で手先の力加減も学べます。力一杯書いた線は濃く、太く。優しく書くと薄く、細く、力を入れるとポキッと折れてしまいますよね。
ぐるぐる描きながら手首を動かすことも学べますし、ぐるぐるだね~と言って、かたつむりかな?ぺろぺろキャンディーかな?と自分ではまだ見立てられませんが、模様を何かに見立てるイメージする機会にもなります。
お口の発達と離乳食
お母さんのおなかにいる間に赤ちゃんは哺乳のための準備をしています。
手を口に持って行ったり、指を口で吸ったり、指を吸いながら羊水を飲む様子も見られています。おなかの中で哺乳のための準備ができると、生まれてすぐの赤ちゃんはすぐに栄養摂取をするために原始反射で哺乳ができるようになるのです。
原始反射とは刺激に対して赤ちゃんの意思とは関係なく反射的に動かす運動のことです。
赤ちゃんの口に入ってきたものを吸うのは哺乳反射、お母さんのおっぱいを探して、捕まえて、吸って、飲み込む。すべて反射で成り立っています。(口唇探索反射・捕捉反射・吸啜反射・嚥下反射)
窒息を防ぐために口の中に異物が入り込んだ時に舌で押し出そうとする反射である押し出し(舌挺出)反射もあります。
成長とともに原始反射は消失し、赤ちゃんの意思のもとで哺乳するようになり、離乳食へと移行していきます。
離乳食の準備として大事なのは原始反射の消失です。
反射により手や指を口に入れ、指を吸うことで哺乳代わりの満足感が味わえると、口に指や手を持ってくる時間が長くなります。
自分の手を見て手を口に運んで吸って 目と手の協応運動、手と口の協調運動が育ち、自分の身体を知っていきます。
また、自分の手・指・足・周りの衣類・おもちゃを口に入れることにより、哺乳以外の口の動きを学習していきます。
そうして生まれつきの原始反射が次第に弱まっていきます。
反射が残っているとうまく食物を取り込むことができないので、指しゃぶりやおもちゃを舐めることは離乳食を始めるにあたってとても大事です。
離乳食初期には、首がすわったり、支えると座ることができる頃です。 食物をみせると興味を示すようになります。
ゴックン期と言われる4・5か月ごろは、上唇の形は変わらず、ぽってりと厚いままで、下唇が時々くるりと内側に入ります。
舌は前後運動のみで、顎の動きと連動しています。そのため、あごが開く(口が開く)と舌が前に出て、食べ物をお口の外に押し出してしまうことがあります。
徐々に口唇によるスプーンでの食物の取り込みが上手になってくると8か月頃にはモグモグ期と言われるようになり、あごの開け閉じの運動がスムーズになり、舌が前に出ることが減り、舌の上下運動(上あごに舌がつく)がみられるようになります。
上あごに舌を押し付ける運動が上手になると、押しつぶして食べられるようになります。
食物の硬さや大きさを感じ取れるようにもなります。
パクパク期と言われる11か月ころには、唇が交互に縮み、左右どちらかの歯ぐきですりつぶすような動きがみられます。口角の引きも左と右で別々になります。舌の運動も片側の歯ぐきの上に食物を運ぶため左右への動きがみられるようになります。食物をすりつぶす機能が発達していきます。
離乳食の進め方のポイント
離乳食を進めるにあたって一番大事なことは食べている様子をしっかり見てあげることです。
お口の動きだけでなく、からだの運動発達を確認して次の段階へ進めていきます。
運動発達と食形態があっていないと、うまく食べ物を処理できないために苦手な感覚と認識し、嫌いな食べ物になってしまうこともあります。
つぶせない、すり潰せないまま丸のみをしてしまったり、飲み込むのが難しいと吐き出してしまい、不適切な食べ方を覚えてしまうこともあります。
舌や頬・唇はことばを発声する器官です。その運動発達が促せないままでいると、大きくなってからの発音にも影響することもあります。
手づかみ食べの経験は赤ちゃんの発達には欠かせません。
握ってみて触ってみて食材の様子や温かさや大きさなども感じます。
握るつまむなど手と目の協調運動や手の操作の発達も促すことができ、食具を用いた操作につながっていきます。唇で食べ物を支えて前歯でしっかりとかじり取ることができることは、お口の運動発達にも重要です。
前歯でかじり取ることによってお口に入った食塊の大きさが適当かどうか経験的に学んでもいきます。
スプーンの選び方はどうしたらよいでしょうか。
まず、お子さんのお口の幅より小さいものを選びましょう。2/3程度の幅が目安です。
口唇の取り込み・捕食がうまく獲得できていない時期にはボールの部分が浅く平たいものがよいです。
お子さんがご自身でスプーンの操作をするときには、口と手の距離が長いとより操作が難しくなるため柄の短いものが楽ちんです。
手の操作やお口の運動が未熟な時期には、スプーンのボール部を口の奥まで入れ過ぎたり、唇で捕食せず前歯でそぎ取ったり、スプーンをひっくり返して取り込むこともあります。
唇の前で平行にし、上口唇が迎えに来るのを待ってあげて捕食の練習をつめるとよいと思います。
コップ飲みはスプーンからの段階で練習していけるとよいでしょう。
まずはスプーンを横向きにして上唇ですすり取ることを促します。
上手になったら少し大きめのスプーンやれんげを用いて量を多くして練習します。
コップに移行してもスプーンのときと同様に上唇の動きを導けるようコップの角度を調整して飲んでもらいます。ストローのみは紙パックを使用して少量口に入るようにしてあげるときっかけになります。
唇、舌、あご…動きをよく見て今の力に合わせて練習を積んでいくことが大切です。
一口量が多かったり、奥に入れ過ぎたりすると、お口の良い動きが出にくくなります。
食物をたくさん口に含んでしまうと、食物を送りこむためのスペースもなくなり、丸のみしか方法がなくなってしまいます一口の量のコントロールにはしっかり前歯でかじり取る経験が大切です。かじり取りをすることで適切な一口量を学ぶことができます。
まずは赤ちゃんのペースで楽しみながらお食事ができることが大切です。
食べたい気持ちから要求の行動が出てきたり食べたくないときに拒否を表すことができたり、コミュニケーションの場にもしてみましょう。
食べ物を介して「もうちょっとちょうだい」「あと1個だけ」などやり取りが楽しめます。お口から出してしまうことも原始反射が残っていることが原因であり、好き嫌いが原因でないこともあります。また、運動と合っていない食形態であるためにうまく処理できず嫌いな感覚と認識してしまうこともあります。運動発達とともに美味しく感じ、好きなものとなることもあります。また赤ちゃんの好き嫌いはある日突然変わることもあります。
動物の本能として食べ慣れたものは「安全」と感じられるので、食べ慣れないと美味しく感じないということもあります。
嫌いと決めてしまわないで少しずつトライすることもよいかもしれません。
お食事を勧めるには美味しく楽しくが大切です。
大好きな家族と一緒に食事を楽しめるのも食べている様子を見せてあげるのもよいでしょう。
朝のお日様を浴びて睡眠のリズムを整えたり、公園でダイナミックな動きをしたり、お腹を空かせることも美味しく食べる秘訣です。まずは赤ちゃんのペースで楽しめるとよいです。
食べたい気持ちから要求の行動が出てきたり食べたくないときに拒否を表すことができたり、コミュニケーションの場にもしてみましょう。
食べ物を介して「もうちょっとちょうだい」「あと1個だけ」などやり取りが楽しめます。
お口から出してしまうことも原始反射が残っていることが原因であり、好き嫌いが原因でないこともあります。また、運動と合っていない食形態であるためにうまく処理できず嫌いな感覚と認識してしまうこともあります。運動発達とともに美味しく感じ、好きなものとなることもあります。また赤ちゃんの嗜好はある日突然変わることもあります。動物として食べなれたものは安全とするために食べなれないと美味しく感じないということもあります。
嫌いと決めてしまわないで少しずつトライすることもよいかもしれません。
お食事を勧めるには美味しく楽しくが大切です。
大好きな家族と一緒に食事を楽しめるのも食べている様子を見せてあげるのもよいでしょう。
朝のお日様を浴びて睡眠のリズムを整えたり、公園でダイナミックな動きをしたり、お腹を空かせることも美味しく食べる秘訣かもしれません。
「たべる」と「ことば」の関係
離乳食を食べることでお口の運動発達が促され、喃語(あー、うーという赤ちゃんのことばを発してお子さんの出した音と大人の繰り返す音を聞き比べながら、様々な音を発音できるようになり、音の並びを理解できるようになってくると、ことばが出始めるようになってきます。