麻疹・風疹・水痘(みずぼうそう)
麻疹・風疹・水痘(みずぼうそう)
麻疹・風疹・水痘(みずぼうそう)は、いずれも特徴的な湿疹と発熱などの症状を引き起こす感染症です。
日本では、乳児期の予防接種が普及したために麻疹・風疹はほとんど見られなくなりました。しかし、水痘は予防接種を受けていても時折みられます。
空気感染を感染経路としていて感染力が非常に強いです。そのため、発症した人と同じ空間で過ごすだけでも感染リスクがあり、診察は隔離して行うことがほとんどです。
麻疹や風疹に関しては、日本で出会うことがかなり稀な疾患であるため、診断は経験のある小児科医であっても難しいです。発熱と同時に発疹が出るなど、これらの疾患が疑われる場合は、小児科専門医に相談するのが良いでしょう。
水痘(みずぼうそう)とは
水痘(みずぼうそう)は水ぶくれを伴う赤い発疹ができる疾患で、原因は水痘・帯状疱疹ウイルスへの感染です。
空気感染で感染力が非常に強く、発疹が出る2日前から、すべての水疱がかさぶたになるまで他の人に感染させる可能性があります。
症状は強い痒みを伴う発疹で、発熱する場合もあります。
発疹は胸やお腹、背中、おでこ、耳の後ろ、頭皮、口の中、陰部など様々な場所にあらわれ、多くの場合5日~7日程度で発疹がかさぶたになります。
ただし、思春期以降や成人になってから感染した場合は、子どもに比べて発熱や発疹などの症状がより重くなる傾向があります。
水痘の感染経路
水痘の主な感染経路には飛沫感染や接触感染の他、空気感染もあります。
飛沫感染では咳やくしゃみなどを吸い込むことによって感染しますが、空気感染では同じ空間にいるだけで感染のリスクがあるため注意が必要です。
また、水ぶくれの中の液体などに触れることによっても感染します。発疹が現れる2日程度前から、すべての水疱がかさぶたになるまで感染のリスクがあります。
水痘の潜伏期間
水痘は10日~21日程度(約2週間)の潜伏期間があるといわれています。
水痘の予防方法
水痘には、予防接種が有効です。
2014年10月1日以降、水痘ワクチンは定期接種となっています。
緊急的予防接種
水痘に感染したことがない方や、ワクチンの2回接種がまだの方が水痘にかかった方と接触した場合でも、72時間以内のワクチン接種で70%(80%~90%)の確率で発症を予防することができるといわれています。
また、もし発症してしまっても症状を軽くする効果が期待できます。
なお、兄弟などでは接触が濃厚であるために緊急接種の効果が出にくい場合があります。
※このワクチンが打てるのは、1歳以上で生ワクチン接種が禁忌でない方のみです。
受診の目安
- 発疹が赤く腫れて化膿している
- 呼んでも反応が遅く、元気がない
- 3〜4日間熱が続いている
検査・診察・治療
内服
水痘は主には医師の診察によって診断します。判断が難しい時には、発疹を擦って内容液を採取し迅速検査キットで検査する場合もあります。
治療は抗ウイルス薬を服用しますが、持病が無く、症状が軽い場合は服用しなくても自然と治癒します。
抗ウイルス薬の服用は、発疹が出現してから早期の服用が望ましく、72時間を過ぎると効果は下がってしまうため、注意が必要です。また、痒み止めの薬を内服することもあります。
解熱剤
解熱鎮痛薬を使う場合はカロナール、コカール、アンヒバ座薬、アルピニー座薬などのアセトアミノフェンを使用するようにしましょう。
その他の解熱鎮痛剤、特にアスピリンについては、脳症のリスクが懸念されるため使用しないでください。
塗り薬
塗り薬として、水疱の乾燥を促す軟膏が処方されることがあります。
水ぶくれのある発疹にのみ、1日に数回、水ぶくれを1つ1つ覆うように綿棒などで塗り、よく乾燥させてください。
水痘(みずぼうそう)に関して
よくある質問
水痘(みずぼうそう)に感染した場合、いつから登園・登校ができますか?
水痘に感染した際、出席停止期間は「すべての発疹がかさぶたになるまで」です。
多くの場合診断から5日~7日程度を要します。
登校・登園許可証が必要な場合、発疹のすべてがかさぶたになってから受診するようにしてください。(目安は約1週間)
水痘の初期症状はどんなものですか?
水痘ではほとんどの場合、発疹と発熱が初期症状として現れます。
その他、頭痛や倦怠感といった風邪に似た症状がみられることもあります。
また、大人の方の場合、発熱、頭痛、倦怠感などの症状がよくみられます。
また、大人の方が感染した場合は症状が重くなる傾向があります。
なお、水痘による発疹は小さく赤い水ぶくれのようなもので、皮膚のみならず目や鼻、喉、直腸や膣などにできるケースもあります。
大人でも水痘はうつりますか?
水痘は主に幼児が感染する病気ですが、大人の方でも罹患した経験がなければ感染の可能性があります。
水痘は、多くの場合小児期に感染し、終生免疫を得ますが、大人になってから初めて感染するというケースも存在し、その場合には重症になりやすいといわれています。
子どもより熱が高くなる、強い倦怠感や痒みを伴う他、髄膜炎や脳炎などのリスクも高くなります。
また、妊娠初期にこの病気に感染すると、産まれてくる子どもが先天性水痘症候群(Congenital Varicella Syndrome (CVS))と呼ばれる重い病気にかかってしまう可能性があるため、注意が必要です。
お風呂で水痘がうつることはありますか?
水痘は、感染した人、その人が触れたもの、水疱から出る液体などを触ることで感染します。
ドアノブやタオルなどの間接的な接触によっても感染し、お風呂でもリスクがあるため、兄弟間で感染が起こりやすいです。
子どもでも水痘に2回かかることはありますか?
基本的には、水痘は一度の感染で終生免疫がつきます。
そのため2回以上かかるということはほとんどありません。
しかし、1回目が軽症だった場合などでは、抗体が少なく免疫がついていないため、もう一度水痘になるというケースもあります。
水痘になるのは何歳頃が多いですか?
水痘は子どもによくみられる急性伝染性疾患です。ほとんどの場合、9歳以下で発症します。